クッキングヒーターとは、どのようなものなのか解説いたします。
クッキングヒーターは1971年にアメリカで発表され、日本にはその3年後の1974年に誕生しました。今から50年近く前からクッキングヒーターは存在していますが、一般家庭に普及したのはクッキングヒーターが組み込まれたシステムキッチンが普及した影響が大きいです。近年には57%ほどの普及率になっています。
そもそもクッキングヒーターとは、どんなものなのかいまいちよく分かっていない方へクッキングヒーターについて解説していきます。
クッキングヒーターについて
クッキングヒーターとは?
クッキングヒーターとはコンロと比較される調理器具であり、コンロがガスや火を使い加熱するのに対してクッキングヒーターは電気の力だけで加熱し調理を行うものです。
掃除が楽にできることや安全に調理ができるなど様々なメリットがあります。以下にクッキングヒーターを様々な面から解説していきます。
クッキングヒーターの歴史
クッキングヒーターの歴史は浅く、1971年にアメリカで開発、発売され始めました。その3年後に三菱電機が初代クッキングヒーター「CS-B32B」を発売しました。
クッキングヒーターが発売されて50年でシステムキッチンの普及とともにクッキングヒーターは普及してきました。システムキッチンの普及率は年々上がっていましたが、近年の普及率はほぼ横ばい傾向です。
【システムキッチンの普及率】
2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 |
---|---|---|---|
51.4% | 52.2% | 55.3% | 56.5% |
2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 |
---|---|---|---|
60.9% | 63.0% | 58.7% | 57.2% |
クッキングヒーターの原理
クッキングヒーターは電気と磁石の力で動いています。よく「IH」という言葉を聞きますが、これもクッキングヒーターのことを指しています。
この「IH:Inductive Heating」は日本語で「誘導加熱」といいます。ガスコンロや火を使う調理器が直接加熱しているのに対して、何かを誘導して加熱しているのが「誘導加熱」です。
「誘導加熱」は、実は中学生で習っている「電磁誘導」の原理を応用しているものになります。電磁誘導とは、電線で作ったコイルに磁石を通すと電圧が生じて、電流が流れるという法則です。
電気の力と磁石の力はお互いに干渉しており、電流を流すと磁場が発生して、磁場が発生したらその周りに電流が流れる、そこに電流があるならば磁場が発生する...ということを永遠に繰り返しているのです。詳しく知りたい方は「マクスウェル 電磁誘導」で検索してください。
簡単な原理を説明します。
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1.クッキングヒーターの内部は渦の巻いたコイル(黒)があり、その上に加熱したい鍋などが置かれているという構図になります。
その内部コイルに電流(黄色)が流れていきます。 -
2.コイルに電流を流すとその電流が磁力線(赤)が発生します。磁力線は鍋の底を貫いているのが重要なポイントです。
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3.発生した磁力線の周りには電流(青)が発生します。発生した電流がなべ底に流れ※材料が持つ電気抵抗により発熱します。この熱で鍋を加熱しています。※なべ底に電流が流れると感電する?と思いますが、ここで流れる電流は渦電流といいなべ底の中に閉じ込められています。ですのでクッキングヒーターを安全に使用することができます。
クッキングヒーターは電流の力を用いて磁場を発生させ、その磁場が鍋に影響し鍋内に電流が流れ、鍋自身が持つ抵抗により加熱するということになります。この原理がわかっていれば、クッキングヒーターで使える鍋と使えない鍋がわかってくるのです。
どんなメリットがあるの?
クッキングヒーターはコンロに比べて以下のようなメリットがあります。
- 火を直接使わないので子供でも安全に調理が可能。
- 火消し忘れの火事の危険が低い。
- 鍋だけを加熱するので部屋が暑くなることがない
- コンロと異なり、フラット構造なので清掃が容易にできる。
- 火力の調整が視覚的に明確で設定しやすい。
クッキングヒーターのメリットは何といっても安全で清潔が保てることです。ガスコンロのような凹凸があるところを掃除するとなると一苦労ですし、火を直接扱うので子供が調理するとなると危険が伴います。
どんなデメリットがあるの?
クッキングヒーターはコンロに比べて以下のようなデメリットがあります。
- 調理に使用する鍋が限定される。
- 表面をあぶったり、直火が必要なフランベなど料理によってはできないことが多い。
- 調理直後など、ヒーターが高温になっていることが視覚的にわからないため注意が必要。
- 電気を使用しているため、停電が起こると使用ができない。
クッキングヒーターのデメリットは鍋が限定されることだと思います。原理でも述べたように、電気的抵抗を持つような鍋でないと誘導加熱ができないため抵抗値の低い銅製の鍋や、電気の流れない土鍋などは加熱できません。冬などに土鍋でナベを食べるということができなくなってしまいます。
場合によっては、停電が起こると使用できなくなるというのは大きなデメリットかもしれませんので頭に入れておく必要があります。
クッキングヒーターまとめ
クッキングヒーターまとめ
- クッキングヒーターは50年前にアメリカではじめて開発・発売された
- 電気と磁石の力で加熱を行い、火を直接使わないので安全に使うことができる
- 電気で駆動しているため、停電があると使用でき成るのがデメリットである